そもそも彫金ってなんですか?
彫金教室で学べる技法の1つ「彫金」。
本来彫金とは、金属工芸(金工“きんこう”)の中の鋳金(ちゅうきん)・鍛金(たんきん)・彫金(ちょうきん)という3つの技法の中の一つです。
鋳金は鋳型(いがた)という型を作り、そこに溶かした金属を流し込んでジュエリーを作っていく技術です。
鍛金は金属を叩いてぼこぼことした模様を打ち出していく技術で、花瓶や水差しなどが作れます。
そして彫金とは読んでんで字のごとく、金属を専門の道具で彫りったり削ったりすることでジュエリーをデザインしていく技術です。
ジュエリーのデザインをし、ヤスリで削ったり、ロウ(金属の接着剤のようなもの)付けしたり、石留めなどをしてジュエリーを作っていくのは、本来「飾り職」と呼ばれますが、今ではそういったジュエリー製作やシルバーアクセサリー製作をひとまとめにして「彫金」と呼んでいるのが現状です。
左・彫刻台、タガネなど 右・ヤスリ、糸ノコ、ヤットコ
本来的な意味で言えば「タガネ」と呼ばれる専門の道具を使い、金属を彫って彫刻する技術のことを言います。
しかし現在彫金教室で習える彫金とは、金属の塊からジュエリーを作る技術全般のことを指しています。
リングをひとつ作るのに金属の板を「切って」、「やすって」、「焼きなまして」、「曲げて」、「ロウ付けして」、「叩いて」、「やすって」、「磨いて」という工程をふみます。
また宝石を留めたり金属同士をくっつけたりするのも彫金の技術です。
簡単な平打ちリングを作ってみよう!
切っているときにブレないようにしっかり固定しながら糸ノコを使って切ります。
固定がしっかりできていないと糸ノコの刃が折れてしまいやすいので注意しましょう。
また後の作業のために糸ノコの切り口をヤスリで削って平らにします。
この作業のことを「焼きなまし」といいます。
バーナーで金属が真っ赤になるようにあぶり、全体が赤くなったら水につけて急冷します。
水から上げればもう手でも曲げられるくらいやわらかくなっているはずです。
曲げるのに「ヤットコ」というペンチのような道具を使い手で曲げたり、「トリクチ」という道具に押し当てて木槌で叩いたりして丸くします。
金属の厚さや太さなどを考慮してケースバイケースで使い分けます。
写真では「トリクチ」と木槌を使用しています。
「ロウ」とは混ぜ物をして溶けやすくした金属のことで、つなぎ目に溶かして流し込むことで接合します。
写真ではリングの上に乗っている小さな2つの板状のものがロウです。
接着剤のような役割だと思っていただければ正解です。
使用するロウは製作物と同じ素材のものを使います。
金であれば「金ロウ」、銀であれば「銀ロウ」などです。
写真ではシルバーリングを作っているので銀ロウを使用しています。
酸化してしまうと、先ほどの接着剤、ロウがうまく流れ込んでくれません。
それでは困ってしまうので、「フラックス」という酸化を防ぐ薬品を接合面に塗ってからロウ付けを行います。
ロウ付けが終わった後、余ったフラックスや他の酸化してしまった黒い部分を洗い落とすために、水で薄めた酸、「希硫酸」に浸けてしばらく待ちます。
芯金(しんがね)という道具にリングをはめ、木槌で叩いて真円にします。
このときあまり叩きすぎるとリングサイズが広がってしまうので注意しましょう。
真円になったら棒ヤスリや紙ヤスリを使って傷を落とします。
粗いヤスリから細かいヤスリへ、あせらず地道に整えます。
モーターに着けたバフ(写真の円形のもの)に研磨剤をつけ、高速回転させます。
ここにリングを押し当てるとピカピカに磨かれます。
ちなみにこのピカピカに磨かれた仕上がりのことを「鏡面仕上げ」といいます。
これだけでもキレイですが、製品として売っているシルバーリングには酸化防止のためにロジウムメッキなどがかけられています。
また今回は簡単な平打ちのリングでしたが、ここに模様を彫ったり、宝石を留めたりするのも彫金の技術です。
基本がわかればどんなジュエリーでも作れますので、ぜひお近くの彫金教室でオリジナルジュエリーを作ってみてください!
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