彫金で使う制作工具
金属を切ったり削ったりする時に対象物がぶれないように固定するための板です。写真ではただの四角い板ですが、先端を切ったり削ったりして自分の好みに成形します。これがあるのと無いのとでは作業効率が格段に違います。
写真上2つがリングゲージ、下2つがサイズ棒です。リングゲージで自分の指の号数を測ります。幅の広いものと細いものがワンセットづつあると便利です。サイズ棒はリングそのものの号数を調べられます。自分の指のサイズはわからないけれど、今自分がしているリングと同じ大きさのものを作りたいと思った時に使います。また製作途中のリングが現在の段階で何号なのかを調べるのもこの道具です。
物の長さ、幅、厚さなどを測る時に使います。写真左二つが一般的なノギスで、ちょっと読み方にコツが必要ですが0.05mmまで測ることができます。右二つはデジタルノギスです。こちらはその名の通り数値が液晶にデジタル表示されるので初心者にもわかりやすくなっています。ワックスを測る時はカーボン製のものを使うと対象物を傷つけません。
ケガキとコンパスが一緒になった道具です。ケガくとは先端のするどい棒などでひっかいて線を描くことをいいます。コンパス部分は円を描くだけでなく、一定の幅をキープさせてケガいたりすることができるので使用頻度の高い道具です。
ご存知糸ノコ。糸と呼ばれるだけあって刃は細いですが、金属のカットにはこの糸ノコが一番です。刃の厚さがさまざまあり、3 ・ 2 ・ 1 ・ 0 ・ 1/0 ・ 2/0 ・ 3/0というように薄くなっていきます。用途にあわせて3種類くらい持っているといいですね。
写真左から精密ヤスリ3本、組ヤスリ3本、インチヤスリ3本の順に並んでいます。大まかに削るならインチヤスリ、細かいところを削るなら精密ヤスリが便利です。組ヤスリは何本組で売っているから組ヤスリなのではなく、ある一定の量の鋼から作られたヤスリの本数の名前で呼びます。つまり5本作られたら5本組ヤスリ、3本作られたら3本組ヤスリ、です。なので5本組ヤスリよりも3本組ヤスリのほうが大きなヤスリとなるわけです。粗さは荒目、中目、細目、油目の順番に細かくなっていきます。中目と油目があると便利でしょう。
直角を測る道具です。平打ちリングの合わせ目などは直角にしてあげないとキレイにくっついてくれなかったりするので、スコヤを使ってしっかり直角にしてあげてください。ちなみに「square(スクウェア)」がなまって「スコヤ」になったんだとか。
火床とは火を扱う場所のことです。そこにはさまざまなものが置いてあります。
写真左上は「 チョコ皿」。金属をこの皿の中に入れてバーナーであぶり溶かします。右上は「 第3の手」。バーナーを持っている手の代わりにお使いください。右下は「 ロウ」。写真は銀ロウです。金属と金属の接着剤の役割をします。細かく切って使いましょう。左下は「 フラックス」。金属に火を当てると酸化してしまい、ロウがうまく流れなくなるために酸化防止剤として塗布します。
ヤットコとはいわゆるペンチです。ただし先端の形状は自分で加工する必要があります。金属をリングのように丸く曲げたいのであればヤットコの先端を丸くし、すべりを押さえたいのであればギザギザに溝をつけます。削ったり、曲げたり、つぶしたり。自分の行いたい作業にあわせて加工してください。
一口にハンマーといっても物によって用途はさまざまです。写真では上から「 木槌」「 プラスチックハンマー」「 槌目用ハンマー×2」となっております。木槌やプラスチックハンマーは金属を成形したり伸ばしたりするのに使用しますが、素材が木やプラスチックなので金属に叩いた跡が残りません。逆に槌目用ハンマーは軽くても強くても、叩いた分だけボコボコとした跡がついてしまいます。ハンマー=槌 ですから、この時ついた跡のことを「 槌目模様」といいます。
主にリングを作る時に使用します。製作途中でまだいびつな形の指輪を芯金に入れて、ハンマーで叩いてやると真円のリングに成形されます。テーパーといって先にいくほど細くなっています。これは各リングの号数に合わせるためで、目的の号数まで木槌などでリングを叩き伸ばしていったりします。先が細くお尻が太いということは、リングの上下?入り口出口?でも若干のサイズ違いが出てきますので、テーパー角の少ない、なるべく長い芯金を買いましょう。
ハンダゴテのようなものです。ワックスを熱で溶かすことで、ワックス同士をくっつけたり、テクスチャーをつけたり、肉付けしたりすることができます。ワックス原型が割れてしまった時の補修にも使えるので非常に便利です。
主にワックスを削る時に使用します。基本的には砥がれていないので、自分で砥がなければなりません。先端の形状はさまざまで、「ここにはこの形じゃないとダメ!」というのがないので自分が使いやすい形のスパチュラを選んで大丈夫です。
小刀のようなものです。ワックスをカンナ削りしたり、地金に出た”バリ”(金属を切ったりした時にできるギザギザのでっぱり)を削り取ったりと用途も広く使い勝手のよい道具です。ただし刃の部分は自分で研ぐ必要があります。
リングタイプのワックスはあらかじめ号数が決まっていて、8号で市販されています。そのため8号よりも大きなリングを作るためには穴を広げなければなりません。その広げるための道具がこのリーマーです。ちなみに8号より小さいリングを作りたい場合はブロック状のワックスに自分で穴を空けて作ります。
さまざまな先端工具を使い、削りから磨きまで行えます。パワーの強いもの、回転数を自由に変えられるものを選びましょう。回転数を落とせばWAXを削るのに非常に便利ですし、回転数をあげれば金属を鏡面仕上げにすることもできます。価格の安いものは力が弱く、限られた用途にしか使用できませんので、安いという理由だけで買わないほうが賢明です。
ご存知紙ヤスリです。磨きの前にしっかり紙ヤスリをかけておくと仕上がりのキレイさがぜんぜん違います。粗い番手から初めて細かい番手まで段階を踏んでヤスリます。番手の数字が大きくなるほど細かなヤスリとなります。耐水性の紙ヤスリであれば水や油、グリースなどをつけて使用すると、より表面が滑らかになります。
金属製品の入り組んだ部分など、通常手では磨きにくい部分を磨いてくれます。全体的に研磨されるのでムラ無くキレイに仕上がります。またキャスト後の製品は金属が多少柔らかくなっていますので、バレルに入れることで硬く良い金属にする効果もあります。
研磨剤をつけたバフを強力なモーターで回転させ、製品を押し当てることで研磨します。鏡面仕上げにする時に非常に便利な道具です。写真右下にあるのが研磨剤で、通称「 白棒」と「 青棒」です。白が粗磨き、青が仕上げで、必ず白→青の順番で使います。
バフがけでこびりついた研磨剤を落とすのに使用します。よくメガネ屋さんに置いてある汚れ落としの機械と一緒です。専用のバフカス落としや中性洗剤を入れて使いましょう。また石留めをした後に石がしっかりと留められているか確かめるために使ったりもします。
彫刻台とはその名の通り、彫刻したり宝石を留めるために使う台座です。上半分が回転する万力になっており、そこにリングやペンダントトップなど加工したいアクセサリーをはさんで固定します。
彫刻台にはさむ時、リングならばリングホルダーで簡単にはさめますが、たとえば星型のペンダントトップだった場合はそのままはさむことはできません。写真のヒートフォームはお湯で暖めると柔らかくなり、冷えると石のように硬くなる道具です。まずヒートフォームを暖めて柔らかくし対象物を埋め込んで彫刻台などにセットします。そのまま冷えれば完全に固定されますので彫りや石留めなどの作業ができます。
松脂などのヤニです。これもアクセサリーに彫刻する時固定するために使います。火で暖めてヤニを溶かし、対象物をセットして冷えるのを待ちます。彫刻台と比べると手間が多くめんどくさいですが固定力は抜群です。和彫りをする時などより強固な固定を必要とする場合はこちらを使いましょう。
この道具を使って彫刻や石留めに必要不可欠な道具です。ただしこのタガネは自分で作らなければなりません。彫り用、石留め用、折り用などなど、バリエーションに富みますが、柔らかい赤タガネと硬い青タガネという大雑把に2種類の金属の棒を加工して作られます。加工前の赤青両金属棒のことを「 カブ」と呼びます。また青タガネよりもさらに硬い超鋼タガネや、先端の窪んだミルタガネ(ナナコ)など加工を必要としないものもあり多種多様です。
製品の表面に押し当て、ハンマーで叩くことで文字を入れる道具です。数字やアルファベット、金種やブランドの刻印と多岐に渡ります。自分のブランドを立ち上げた際はぜひオリジナルの刻印が欲しいところですね。
製品にドリルで穴を開け、セッティングバーで石の座り、安定をよくします。石はセッティング次第で留まらなくなってしまうので、セッティングする際は特に気をつけて、慎重に行いましょう。
この道具にドリル刃やセッティングバーをセットして使用します。ハンドドリルは手で歯車を回転させて使い、パワーがあるので比較的楽に穴が空けられます。ピンバイスはパワーはないものの、石の微妙な調節が出来るので便利です。状況に応じて使い分けましょう。
ローラーで伸ばした地金やもともとある金属線を任意の太さに引き伸ばしていくための道具です。また金属パイプなどもこれで作れます。非常に力がいりますが石座の爪作りや大量の丸カンを作りたい時などこれがあると便利です。
日々のお手入れにどうぞ。研磨剤をつけたシルバークロス(写真左)で磨いてあげれば薄いちょっとした傷くらいなら取れてしまいます。セーム皮(写真右)は傷をとることはできませんが、石も磨けて非常にキレイになります。いつもピカピカのアクセサリーを身につけたいなら持っておいて損はありません。